金価格は米国経済と逆相関の関係
長期にわたり、金価格というのは米国経済と逆相関の関係にありました。
つまり、米国経済が好調であれば「金(ゴールド)」は売られやすく、逆に米国経済が先行き不透明になれば「金」が買われやすくなるという関係にあったということです。
具体的には、定期的に発表される次のような各種の経済統計などが、「金」の短期的な値動きの材料になっており、米国経済の好調を示す数字が出ると金価格は下落し、反対に経済悪化を示す数字が出れば金価格は上昇するというのが基本的な動きだったのです。
■金利動向
■失業率
■住宅着工件数
■消費者物価指数...など
しかしながら、近年は、米国経済と「金」との逆相関の関係が崩れています。
「有事の金」が復活
昔から「有事の金」と言われるように、金価格に最も大きな影響を及ぼすのは「有事」です。
元来、「有事」という用語は、米ソ冷戦時代に「戦争の脅威に備えるためには金が有効である」という意味で用いられていました。
これは、戦争により金融市場の機能が麻痺し、株式や債券などの取引が不能に陥ったり、またはその価値が暴落した場合においても、世界中どこでも、あるいはいつでも売買できる現物資産の「金」が最も頼りになると考えられたからです。
とはいえ、ベルリンの壁崩壊以降は、「有事」に備える必要もないというムードが世界中に広がったことから、「金」の代わりにドルが「有事のドル」としてもてはやされました。
しかしながら、米国同時多発テロ以降は、ドルの信頼が揺らいでいることもあり、「有事の金」が復活しています。
具体的には、イラク戦争やイランの核開発疑惑、パレスチナ情勢の緊迫化、北朝鮮のミサイル発射と核問題など、有事を連想させる事件が起きるたびに、金相場は敏感に反応し、金価格は急騰してきました。
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