貿易黒字だと円高になるのでしょうか?
貿易黒字が続くと円高に振れるのではないかと思われがちですが、実はそうでもないという金融事情があります。
といいますのは、鉱物資源の少ない日本においては、原油や石炭、天然ガスなどのエネルギーを輸入に頼っています。
2007年から上がり始めた原油価格は、アメリカの先物取引所で1バーレル130ドルを突破しましたが、この影響は同じ化石エネルギーである石炭や鉱物資源の金などの価格にも波及しました。
これらの値上がりは、日本円での支払金額を膨らませ、結果的に生活に欠かせないガソリンや電気料金の引上げになったのです。
為替レートの物価への影響は?
輸出量が同じであっても、原油価格が値上がりすれば、その分だけ中東の受取代金は多くなります。
つまり、外貨収入が増えれば、中東の通貨は、輸出相手国の通貨に対して強くなるということです。
しかしながら、中東諸国の通貨というのは米ドルに連動していて、外貨準備高の大半はドル建ての資産、特にアメリカ国債に投資されています。
これは米ドルが弱くなると蓄えている資産が目減りしてしまうということですから、中東諸国は、その莫大な資産の投資先を見直し始めています。
このような動きによって、強い通貨はますます強くなり、弱い通貨はますます弱くなるという傾向が顕著になってきます。
その結果、弱い通貨の国は、より多くの輸入代金を支払うことになりますので、その国の物価は上昇するのです。
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