米ドルの地位が揺らぎ始めている?
米国は、世界最大の経済力を誇る一方で、膨大な経常収支の赤字を抱えており、実は他の先進国や新興国の資金が流入することによって米ドルが支えられているといった、不自然な構造があります。
また、サブプライム問題に端を発する世界的な金融危機に際して財政支出が急激に膨らみ、財政の悪化によって世界の資金を集めるアメリカ国債が、今後大きく崩れるのではと心配の声を聞かれます。
さらに、「有事のドル買い」というジンクスについても、2001年の同時多発テロ事件でアメリカ自身が標的となったことから微妙な変化が見られます。
それでも米ドルが中心である
とはいえ、米ドル絡みの通貨ペアは、今現在でも外国為替市場において圧倒的な取引量を維持しています。
また、世界各国の中央銀行が決済のための準備通貨として保有するのも米ドルが中心であることに変わりありません。
何よりも世界の金融市場の関心事は、アメリカ経済が今後どのように立ち直っていくのかということに集中しています。
金融・経済危機が、最終的には米ドルにどのような影響を及ぼすのかについて、現在はまさに、通貨の歴史上においても大きな転換点に立っている可能性があるといえます。
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