FXと外貨預金の違い
外国為替証拠金取引(FX)の手数料の方が銀行の外貨預金の手数料よりも安いというのは前述した通りですが、それだけでなく、資金運用という面からみても外貨預金よりも有利になっています。
例えば、国内の大手銀行に10万ドル分を外貨預金するとします。
当初の為替レートは1ドル=110円(仲値)で、それが1ドル=115円(仲値)になったら解約したいと考えています。
外貨預金の場合は、銀行口座を開設し、円を預け、それをドルに換えます。また、銀行では、午前10時の為替レートを基準に、その日の対顧客電信相場を決定します。
仮に1ドル=110円が仲値だとしますと、銀行が顧客に対してドルを売るレートのTTS(対顧客電信為替売り相場)はおよそ仲値+1円ですから、この場合は1ドル=111円となります。
つまり、10万ドル分の円は、仲値の110円よりも1円高い、1ドル=111円でドルに換えられることになるのです。
その後、相場が予想通りに上昇し、1ドル=115円になったところで解約するとしますと、このとき銀行はドルを売る場合にはTTB(対顧客電信買い相場)と呼ばれるレートを適用します。
通常TTBは、その日の仲値より1円安いレートになりますので、この場合は仲値の115円より1円安いレートである1ドル=114円で円に換えられます。
すなわち、上記の外貨預金では、為替レートが1ドル=120円から円高に推移することを予想して1,110万円を支払って10万ドルを買い、その予想通りに1ドル=115円まで高くなったところで10万ドルを売り、1140万円を手にしたことになります。
そして、実際の利益は、30万円((114.00円−111.00円)×10万ドル)、手数料として銀行に20万円支払ったわけです。
ここで重要なポイントは、この取引を実行するために1,110万円を使っているということと、5円の為替変動に対して片道1円、往復で2円分の手数料を取られているということです。
外国為替証拠金取引(FX)の場合は?
同じ10万ドルをFXで売買するとどうなるのかについて、上記の外貨預金のケースと同様に、為替レートが1ドル=110円のときに10万ドルを買い、その後1ドル=115円になったときにドルを売るとします。
すると、FXの手数料は1万通貨(1万ドル)あたり片道1,000円程度で、10万ドルなら片道1万円です。
これを1ドルあたりに直しますと0.10円分ですから、為替レートが1ドル=110円のときには1ドル=110.10円でドルを買うことができることになります。
これは、ドルを売るときも同様ですから、1ドルあたりの手数料は0.10円分です。
これにビッド(買値)とアスク(売値)のスプレッドを0.05円分乗せたとしても、為替レートが1ドル=115円のときには1ドル=114.85円で反対売買できます。
よって、この取引の実際の利益は、47万5,000円((114.85円−110.10円)×10万ドル)になります。
1ドル=110円でドルを買い、1ドル=115円でドルを売るというまったく同様のタイミングで10万ドルを売買したにもかかわらず、FXでは外貨預金よりも利益が17万5,000円も増加したということです。
言い換えれば、外貨預金では20万円であった手数料が、FXではわずか2万5,000円と、17万5,000円も安くなったということです。
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